（画像提供：内平さん）

 
「お寺の活動事例集」では、全国の浄土真宗本願寺派寺院で行われる催しや取り組みをご紹介しています。今回は、北海道札幌市にある、覚王寺さんで行われている「おてら終活カフェ」について、同寺住職の内平淳一（うちひら・じゅんいち）さんにお尋ねしました。
 

覚王寺住職 内平淳一さん（写真提供：内平さん）

どんな活動？

（画像提供：内平さん）

 
――どんなご活動でしょうか？
 
内平：「おてら終活カフェ」とは、お寺で終活を学ぶことができる催しです。2019年から2020年にかけて全5回開催しました。いわゆる終活セミナーですが、ただ講義をして終わるのではなく、その後お茶を飲みながら気軽に相談できる場を用意しているところが特徴です。
現在は新型コロナウイルス感染症対策で中止していますが、毎月第4土曜日の2時から４時頃まで実施していました。最初に1時間半ほど講演を行い、その後30分間の茶話会で悩みを共有しあう、という流れです。
 
――どういうきっかけがあったのでしょうか？
 
内平：なんとなく「終活」とお寺の距離が遠いと感じたのが出発点です。そう思っていたとき、たまたまグリーフケアを学んでいたときに終活団体とご縁が出来たのがきっかけでした。
やっぱり、お寺だからこそ死や生をじっくり考えられるのだと思います。「おてら終活カフェ」は、もともと「まいてら」で実施されていた企画で、それを覚王寺でも実施しました。
 
終活団体は多種多様で、お寺とは相性が悪い団体も存在しています。そんな中、現在ご縁をいただいている「終活マイライフ」さんは非常に良心的で、ここだったら安心だと思い、コラボに至ったんです。
 
――どういうテーマを取り扱っているのでしょうか？
 
内平：各回のテーマは以下のとおりです。

 
いずれも終活を考える上では避けて通れないテーマですよね。第1回目から第4回目までは終活マイライフさんの講師が、第5回目は私が講師を担当しました。
 
――参加者の方のご感想は？
 
内平：門徒さんはもちろん、地域の方にもご参加いただいています。やっぱり、終活をなんとなく考えたくないものにしている、というのは感じます。そんな中で、話を聞くことで終活の大切さに気づかれる方もいらっしゃいます。
また、お茶会でいろんな相談を持ちかけられる様子を見て、講演会よりもお茶会の方が大事なのかなと思わせられました。終活って、なかなか人と気軽に話せないですよね。また、家族同士だと話しにくいという声も聞きますが、催しで初めて出会った人同士だからこそ本音を切り出せる場面もありました。お寺という安心できる場で、利害関係のない人や専門家とざっくばらんに話せるのが価値なのかもしれません。
 
――どういった学びがありましたか？
 
内平：葬儀については知っているものの、それ以外のことは全然知らないことに気づかされました。特に、介護保険の知識については詳しく知りませんでした。もし知っていれば私がお参りした時に相談に乗ることも出来ますよね。
 
また、こうした終活に関する情報を門信徒の方々に共有して、何かあったときに専門の機関につなぐ必要性を感じます。そのためも、団体の方々とつながっていくことが本当に大事だと思いますね。
 
――ご活動において、大切にされていることはありますか？
 
内平：あくまでも聞き役に徹し、自分自身が語らないことです。いち参加者として、講師の方からお話を振られることがあればお話をする、というスタンスを大切にしています。
 
――終活の催しを始める際に気をつけるポイントはありますか？
 
内平：終活セミナーとカフェをうまく組み合わせていくことが大事だと思います。セミナーだけだと場の空気が堅くなってしまいます。一方、カフェは場が和やかになりますし、相談を聴くだけでも成立するので、主催側としてもハードルが低いのではないでしょうか。
参加者が疑問に思っている事を拾う場作りが終活カフェの運営には大切なのかもしれません。情報を伝えるのは大事ですが、それ以上に困っていることを話せる場がお寺には求められていると感じます。
 
――ありがとうございました。
 

覚王寺について

（画像提供：内平さん）

【寺院名】

浄土真宗本願寺派　崇徳山 覚王寺
 

【住所】

〒001-0045
北海道札幌市北区麻生町5丁目2-12
 

【WEBサイト】

https://www.kakuouji.com/

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